1995年、夏。
未だエアコンの無い教室。蝉の声。
社会に出て何の役に立つのかわからない授業。
机の中に漫画雑誌を隠して読む男子。
先生の目を盗んで手紙を交換する女子たち。
そんな教室の片隅で、僕は「秘密のノート」に文字を書いていた。
部活に向かう友人たちと別れ、一人東横線に乗った。
渋谷の楽器店で、あと何回バイトに入ればいいか考える。
家でも学校でも成績の事しか聞かれない。
布団を被って、誰にも聞こえないようにこっそり歌った。
ある日、友人にノートが見つかった。
「これ歌詞?」と聞かれ、そうだ、と答えると、
友人は兄貴のギターを持ってきた。
汚い文字で書かれた歌詞とコードを元に、
友人が慣れない手つきでギターを弾く。
様子を伺う僕に、友人は、
「すげえ!バンドやろうよ!」と言ってくれた。
ノートに書いた沢山の詞が、実際に音楽になった。
自然と僕らは笑顔になった。
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これは、僕の高校生の頃のお話です。
当時の僕と同じ想いを持つ方を応援したくて、シアーを経営しています。
20年前、バンドに誘ってくれた彼のように、
誰かの「秘密」を見つけ、そっと背中を押してあげられる友人のような存在でありたい。
それがシアーの目指している姿です。
シアー株式会社
代表取締役社長 高梨雄一朗